Jリーグ第14節鹿島アントラーズ戦後半開始と共に仲川選手と交代した塚川選手であったが、その起用方法がサポーターの中で話題となっている。
塚川選手はもともとインテリオール、中盤の位置である。しかし、ルヴァンカップ第4節ガンバ大阪戦でゴールを決めた試合を皮切りにCF、WGでの起用が増えた。
実際、前節川崎フロンターレとか今節鹿島アントラーズ戦ではウイングで入りCFも務めた。なぜアルベル監督は本職ではない彼を前線で起用するのか。それは塚川選手に前線で起用される適正があるからだ。
アルベル監督の求めるCF・WGの役割
おそらくCFにおけるディエゴ・オリベイラ選手の役割と塚川選手をCFに起用するあたり、アルベル監督は4-3-3で前線(CF)からの守備を行う戦術を用いてポゼッションサッカーを行おうとしているのだろう。(ディエゴ・オリベイラの場合は0トップ戦術となる)
参考:[CapitalCityfootball]東京を深く愛す男。FC東京 アルベル監督とは?哲学・戦術に迫る。戦術編
WGの場合、守備に重きを置き守備をより強くする役割を与える。チャンスメイクに絡み、前線でクロスがあげられたときにスペースに走りこんでシュートを打つアタッカーの役割も含めている。
そして鹿島アントラーズ戦の後アルベル監督は塚川選手に対して語った。
Q、仲川選手とはタイプの異なる塚川孝輝選手を入れた際の攻撃のプランはどのようなものでしたか。
A、選手の特徴からすると、仲川選手に代えるべき選手はもしかしたら俵積田晃太選手だったかもしれません。ただ、鹿島の武器はカウンターアタックと相手を押し込んだ際のクロスボールからの攻撃です。その意味では、守備での貢献度の高い塚川選手を入れて、相手のサイド攻撃に対応する狙いがありました。後半がスタートする時にサイドバックとウイングの特長を踏まえた上で、左サイドバックの徳元悠平選手は足元のプレーを得意とするので、その前に塚川選手を入れ、右サイドにはより足元の得意な渡邊凌磨選手を入れ、長友選手にスペースに飛び出してもらう意図を持っていました。塚川選手の武器はスペースへの飛び出しです。今日もその部分を上手く生かしてチャンスを作ってくれていたと思います。
Q:記者 A:アルベル監督
引用:5/20 鹿島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW | F.C.TOKYO FANZONE | FC東京 (fctokyo.co.jp)
上記のインタビューからわかるアルベル監督の塚川選手起用の目的は
- 鹿島のカウンターを阻止すること
- 守備強度を上げること
- スペースに飛び出す動きで得点・チャンスを狙うこと
WGの働き
上記の目的を与えられ起用された塚川選手。仲川選手に代わっての起用となったがポジションは左サイド。

53分の攻撃時FC東京は以下のような形をとる。

この配置は少し見にくいものだが、配置をそのまま表した。アルベル監督の語っていたボールを扱うのがうまい選手(渡邊選手、徳元選手)は前線の5人に参加はせずボールを供給する役割であったのだろう。
そしてスペースに飛び込むのが得意と語られていた長友選手、塚川選手が5レーンの1人として参加している。画像にはないが徳元選手が上がり塚川選手が左から2番目の位置にいることもあった。この辺りは流動的に動いている。
試合を見ると、塚川選手はボールを保持したら失わずにチャンスメイクに加担するという指示が与えられているのがわかるプレーをしている。加えて、スペースに抜ける動きが得意と語られている通りクロスに合わせる動き出しと技術は高くミドルシュートも打てるため、攻撃陣として起用されるのは納得がいく。そして、足元がうまいためボールロストの確率は低くパスは正確で中央にパスを送り込むシーンもいくつかあった。
CFの役割
68分過ぎ、20分ほどであまりボールに絡んではいないが、塚川選手はCFで起用されることとなる。左WGに渡邊凌磨選手。右WGに俵積田選手だ。
0トップにおいてCFの役割は主に中央におりて中盤で数的優位を形成することである。アルベル監督はポジショナルプレーも掲げているのだがポジショナルプレーには三原則あり、その中の1つが数的有利を形成するということ。
しかし、今日の試合では渡邊凌磨選手が中央に絞り込み人数有利を作り出す役割が与えられていたので、塚川選手はポストプレーを行う役割となる。
後半79分のプレーは著者はすごく将来性を感じた。
俵積田選手が右サイドからボールを持ち込み、CFの塚川選手に渡す。それを安部選手に落とし、また塚川選手に帰ってくるがボールをロスト。このプレーは塚川選手の位置がもっと高く、そして落としたボールに対しダイレクトでシュートを打つ技術があれば中央からの攻撃パターンだ一つ増えることになる。ディエゴ・オリベイラ選手がCFではワンタッチでのパスの技術が低く、あまりみられないシーンである。
相手のバイタルエリアを使ったプレーをより完成されれば、美しいサッカーになるのではないだろうか。

※簡易的だが点線がパス。直線はドリブルである。
改善点
そもそも本職ではないため、大目に見ている部分はあるのだが、より中盤の位置に下がりボールを受けること。そしてイエローカードをもらっている状況で無駄なファールを避けることである。
渡邊凌磨選手が中盤に下がるのはおそらくチームとしての戦術だろうが、下がった後に中央に受ける選手がいなくなるのはビルドアップを円滑に進めるものではない。より中央まで下がりポストプレーをした後サイド前線に上がる動きだしができるだけで、評価が一気に変わるであろう。
イエローカードの部分は説明不要である。あまりにも不注意であった。
WG起用されたときはより1対1での勝利を求められるため、できるとよいが現状CFの方が理想的か。
まとめ
- 塚川選手を前線で使用することは、ファーストディフェンスの面で利点である。
- 足元も上手くボールをロストしにくい。
- クロスが入ってきたときのワンタッチの技術は期待できる。ヘディングも強い。(対クロス〇)
- ポストプレーができるという拡張性
- 鹿島アントラーズ戦では後半に唯一得点のチャンスになる動きを見せている。
- 上記してはいないが、よく走りよく守った。走力は見事。
- 改善点:よりポストプレーを進化させる。イエローカード保持時の守備には注意する。
結論
塚川選手のCF・WG起用は良い。特にCF起用は完成されたときFC東京によりポジションサッカーにおいて拡張性をもたらし、中央から攻撃するときのキープレイヤーになれる。
コメント
最近、こちらのブログを知りました。
現代サッカーの潮流もふまえたアルベル考察は非常に興味深く、納得させられます。
今の状況に悶々としてる無識なサポとしては、闇を照らしてくれて安心します。
長文の投稿は大変な作業かと思われますが、楽しみにお待ちしております。
ブログを読んでいただきありがとうございます!そして、コメントしていただきありがとうございます!
東京のサッカーをより盛り上げるために頑張っています!記事ができましたらお読みいただけると嬉しいです!